○上松町いじめ防止対策推進条例
平成28年9月21日
条例第23号
(目的)
第1条 この条例は、いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号。以下「法」という。)第6条の規定に基づき、いじめが、いじめを受けた児童生徒の人権を著しく侵害し、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命又は身体に重大な危機を生じさせるおそれがあることに鑑み、児童生徒の尊厳を保持するため、いじめの未然防止、いじめの早期発見及びいじめへの対処(以下「いじめの防止等」という。)のための対策に関し、基本理念並びに町等の責務及び役割を明らかにするほか、基本的な事項を定めることにより、長野県いじめ防止対策推進条例(平成27年長野県条例第24号)と相まって、いじめ防止対策を総合的かつ効果的に推進し、もって児童生徒が安心して生活し、健やかに成長できる環境をつくることを目的とする。
(1) いじめ 児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等、当該児童生徒と一定の人的関係にある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているものをいう。
(2) 学校 町内に所在する小学校、中学校をいう。
(3) 児童生徒 学校に在籍する児童又は生徒をいう。
(4) 保護者 親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童生徒を現に監護する者をいう。
(基本理念)
第3条 いじめの防止等の対策は、いじめが全ての児童生徒に関係する問題であることに鑑み、児童生徒が安心して学習その他の活動に取り組むことができるよう、学校の内外を問わずいじめが行われなくなるよう取り組まなければならない。
2 いじめの防止等の対策は、全ての児童生徒がいじめを行わず、他の児童生徒に対して行われるいじめを認識しながらこれを放置することがないようにするため、児童生徒が自らを大切に思う気持ちや他者を思いやる心を育むとともに、いじめが児童生徒の心身に及ぼす影響その他のいじめの問題に関する児童生徒の理解を深め、いじめの解決に向けて主体的に行動できるようにすることを旨として行われなければならない。
3 いじめの防止等の対策は、いじめを受けた児童生徒の生命及び心身を保護することが最も重要であり、学校全体で組織的に取り組むとともに学校、家庭、地域住民、行政その他の関係者の相互の連携協力の下、社会全体でいじめの問題を克服することを目指して行われなければならない。
(いじめの禁止)
第4条 児童生徒は、いじめが人権侵害であることを認識し、いかなる理由があってもいじめを行ってはならない。
(町の責務)
第5条 町は、第3条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、いじめ防止対策について、本町の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有することを認識し、次に掲げる措置を講ずるものとする。
(1) 学校におけるいじめの防止等のために必要な措置
(2) いじめの防止等に関する機関及び団体(以下「機関等」という。)との連携
(3) 児童生徒の健全育成に係る事業の充実
(4) いじめの防止等に関わる町民の意識の高揚を図るための啓発活動
(5) いじめに関する相談を受け付けるための体制の整備
(6) いじめ防止対策を推進するために必要な財政上の措置
(7) 前各号に掲げるもののほか、いじめの防止等のために必要な措置
(学校及び学校の教職員の責務)
第6条 学校及び学校の教職員は、基本理念にのっとり、当該学校に在籍する児童生徒の保護者、地域住民その他の関係者との連携を図りつつ、学校全体でいじめの防止等に取り組むとともに、児童生徒がいじめを受けていると思われるときは、当該児童生徒を徹底して守り通し、いじめの早期解決のため、適切かつ迅速にこれに対処するとともに、再発防止に向けた取組を行う責務を有する。
2 学校及び学校の教職員は、基本理念にのっとり、教職員の言動が児童生徒に大きな影響を及ぼすとの認識の下、児童生徒一人一人についての理解を深めるとともに、児童生徒との間の信頼関係を構築し、主体的に考えて行動する児童生徒の育成に努めなければならない。
3 校長及び教員は当該学校に在籍する児童生徒がいじめを行っている場合であって教育上必要があると認めるときは、学校教育法の規定に基づき、適切に、当該児童生徒に対して懲戒を加えることができる。
(出席停止制度の適切な運用等)
第7条 教育委員会は、いじめを行った児童生徒の保護者に対して、学校教育法の規定に基づき、当該児童生徒の出席停止を命ずる等、いじめを受けた児童生徒その他の児童生徒が安心して教育を受けられるようにするために、学校、関係者等の意見を聞き、必要な措置を講ずることができる。
(保護者の責務)
第8条 保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、その監護する児童生徒がいじめを行うことのないよう、当該児童生徒に対し、自らを大切に思う気持ちや他者を思いやる心を育むとともに、規範意識を養うための教育その他の必要な教育を行うよう努めなければならない。
2 保護者は、その保護する児童生徒がいじめを受けた場合には、適切に当該児童生徒をいじめから保護するものとする。
3 保護者は、その保護する児童生徒が通学する学校又は町が行ういじめの防止等のための取組に協力するよう努めるものとする。
(児童生徒の役割)
第9条 児童生徒は、互いの人格を尊重しなければならない。
2 児童生徒は、いじめを防止するための学校内の活動に主体的かつ積極的に取り組むことにより、いじめのない安全で安心な学校生活を送ることができるように努めるものとする。
3 児童生徒は、いじめが行われていることを認識したとき又はいじめに関する相談を受けたときは、速やかに、保護者、学校の教職員その他関係者又は機関等に相談するよう努めるものとする。
(町民の役割)
第10条 町民は、基本理念に基づき、地域全体で児童生徒を見守るとともに、学校、家庭、地域住民、行政その他の関係者と連携協力して、児童生徒が健やかに成長できる環境づくりに努めるものとする。
2 町民は、学校又は町が行ういじめの防止等のための取組に協力するよう努めるものとする。
(長野県、長野県教育委員会及び警察との連携)
第11条 町は、長野県、長野県教育委員会及び警察と連携協力していじめ防止対策の推進を図るとともに、いじめ防止対策に関して必要があると認めるときは、長野県、長野県教育委員会及び警察に対し必要な措置を講ずるよう要請するものとする。
(上松町いじめ防止基本方針)
第12条 町は、法第12条の規定に基づき、いじめ防止対策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針として、上松町いじめ防止基本方針(以下「いじめ防止基本方針」という。)を定める。
2 いじめ防止基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
(1) いじめ防止対策の基本的な方向に関する事項
(2) いじめ防止対策の内容に関する事項
(3) その他いじめ防止対策に関する重要事項
3 町は、児童生徒を取り巻く社会情勢の変化等により定期的に基本方針の見直しを行い、必要に応じてこれを変更するものとする。
(上松町いじめ問題対策連絡協議会)
第13条 町は、法第14条第1項の規定に基づき、機関等の連携を図るため、上松町いじめ問題対策連絡協議会(以下「連絡協議会」という。)を置く。
2 連絡協議会は、次に掲げる事項について協議する。
(1) いじめ等の問題の実態把握及び防止等のための取り組みの実施状況に関すること。
(2) 関係機関等との連携及び関係機関等が実施するいじめ防止対策についての情報共有に関すること。
(3) 前2号に掲げるもののほか、いじめ防止の啓発活動その他必要な事項に関すること。
3 前2項に定めるもののほか、連絡協議会の組織及び運営に関して必要な事項は、教育委員会規則で定める。
(上松町いじめ問題調査委員会)
第14条 法第14条第3項及び法第28条第1項の規定に基づき、いじめ防止対策を実効的に行うため、上松町教育委員会(以下「教育委員会」という。)の附属機関として、上松町いじめ問題調査委員会(以下「調査委員会」という。)を設置する。
2 調査委員会は、教育委員会の諮問に応じ、次に掲げる事項を調査審議する。
(1) いじめ防止対策の推進に関する重要な事項
(2) 重大事態に係る調査に関する事項
(3) 前2号に掲げるもののほか、教育委員会が必要と認める事項
3 前2項に定めるもののほか、調査委員会の組織及び運営に関して必要な事項は、教育委員会規則で定める。
(上松町いじめ問題再調査委員会)
第15条 町長は、法第30条第2項の規定による調査を行う必要があると認めるときは、町長の附属機関として、上松町いじめ問題再調査委員会(以下「再調査委員会」という。)を設置することができる。
2 再調査委員会は、町長の諮問に応じ、次に掲げる事項を所掌する。
(1) 重大事態に係る調査の結果についての調査に関する事項
(2) 前号に掲げるもののほか、町長が重大事態への対処等のため必要と認める調査に関する事項
3 再調査委員会は、委員5人以内をもって組織する。
4 委員は、次に掲げる者のうちから、町長が委嘱する。
(1) 学識経験を有する者
(2) いじめの防止等に関する知見を有する者
(3) 前2号に掲げるもののほか、町長が適当と認める者
5 委員の任期は、町長が委嘱した日から、第2項に規定する調査に関する事項が終了する日までとする。
6 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
7 前各項に定めるもののほか、再調査委員会の組織及び運営に関して必要な事項は、規則で定める。
(報酬及び費用弁償)
第16条 連絡協議会、調査委員会及び再調査委員会の委員の報酬及び費用弁償は、特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(昭和39年上松町条例第3号)に定めるところによる。
(委任)
第17条 この条例の施行に関し必要な事項は、教育委員会の所管する事項にあっては教育委員会が、その他の事項にあっては町長がそれぞれ定める。
附則
この条例は、公布の日から施行する。