○上松町環境基本条例

平成30年6月21日

条例第14号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 環境の保全及び創造に関する基本施策

第1節 施策の基本方針(第7条―第8条)

第2節 環境の保全及び創造に関する基本施策(第9条―第19条)

第3節 地球環境保全の推進(第20条)

第4節 施策の推進体制等(第21条―第22条)

第3章 上松町環境審議会(第23条)

第4章 雑則(第24条)

附則

(前文)

私たちの上松町は、長野県の南西部、木曽郡のほぼ中央に位置し、中央アルプスの雄大な山々と、木曽ヒノキに代表される森林資源や中京圏の水源である木曽川、四季折々の変化に富んだ赤沢渓谷など、美しく豊かな自然の恵みの下、歴史を刻み、文化を築き上げてきました。

しかしながら、資源やエネルギーの大量消費、廃棄物の大量発生を伴う今日の社会経済活動は、私たちの生活に利便性や物質的な豊かさをもたらした一方、地球温暖化等の深刻な環境問題を引き起こしており、自然の生態系に影響を及ぼし、人類の未来をも脅かす事態となっています。

私たちは、良好で快適な環境の恵みを受ける権利を有するとともに、かけがえのない環境を守り、将来の世代に引き継いでいく責務を担っています。

このため、私たちは自らが環境に影響を与える立場にあることを自覚し、すべての町民及び事業者の参加と連携の下、自然と人とが共生し、環境への負荷の少ない持続的に発展することができる郷土を築くため、この条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、環境の保全及び創造について、基本理念を定め、町、町民及び事業者の責務を明らかにするとともに、環境の保全及び創造に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の町民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 環境の保全及び創造 良好な環境を維持し、及び形成することをいう。

(2) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(3) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋や河川等の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体若しくはその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに町民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

(4) 町民 町内に居住し、勤務し、在学し、若しくは滞在し、又は町内を通過する者をいう。

(5) 事業者 町内で事業活動を行う者をいう。

(6) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物採取のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。)に係る被害が生ずることをいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全及び創造は、町民が健康で文化的な生活を営むうえで必要な環境を確保し、これを将来の世代に継承することができるように適切に行われなければならない。

2 環境の保全及び創造は、地域における多様な生態系の健全性を維持し、及び回復するとともに人と自然との豊かなふれあいを保つことにより、人と自然とが共生できるよう適切に行われなければならない。

3 環境の保全及び創造は、環境の保全上の支障を未然に防止することを基本に、環境への負荷の少ない、持続的な発展が可能な社会の構築を目的として、公平な役割分担の下に、すべての者の自主的かつ積極的な取組によって行われなければならない。

4 地球環境保全は、すべての者が人類共通の課題であることを認識し、それぞれの事業活動及び日常生活において積極的に推進されなければならない。

(町の責務)

第4条 町は、前条に定める基本理念に基づき、環境の保全及び創造に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

2 町は、自ら行うすべての施策の策定及び実施に当たっては、環境の保全及び創造に配慮するとともに、環境への負荷の低減に努めなければならない。

3 町は、環境の保全及び創造に関する施策に町民の意見を反映させるよう、必要な措置を講ずるように努めなければならない。

4 町は、環境の保全及び創造に関する施策及び環境保全に関する情報の収集を行うとともに、その公開に努めなければならない。

(町民の責務)

第5条 町民は、基本理念に基づき、環境の保全上の支障を防止するため、日常生活に伴う環境への負荷の低減に努めなければならない。

2 前項に定めるもののほか、町民は、基本理念に基づき、環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、町が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力しなければならない。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、基本理念に基づき、その事業活動に伴って生ずる公害その他の環境の保全上の支障を防止するため、必要な措置を講ずるものとする。

2 事業者は、環境に影響を与えるおそれのある土地の形質の変更、工作物の新築又は改築その他これらに類する事業を行おうとするときは、あらかじめ適正な調査、予測及び評価を行い、環境の保全に努めるものとする。

3 事業者は、資源及びエネルギーの有効利用を図るとともに、廃棄物の減量化、資源の循環的利用の推進等に取組むことにより、環境への負荷の低減に積極的に努めるものとする。

4 前3項に定めるもののほか、事業者は、基本理念に基づき、その事業活動に関し、これに伴う環境への負荷の低減その他の環境の保全及び創造に自ら積極的に努めるとともに、町が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力しなければならない。

第2章 環境の保全及び創造に関する基本施策

第1節 施策の基本方針

(施策の基本方針)

第7条 町は、環境の保全及び創造に関する施策の策定及び実施に当たっては、基本理念に基づき、次に掲げる基本方針に沿って、各種の施策相互の連携を図りつつ総合的かつ計画的に行わなければならない。

(1) 人の健康の保護及び生活環境の保全が図られるよう、大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素を良好な状態に保持すること。

(2) 野生生物の種の保存その他の生物の多様性の確保を図ること。

(3) 森林、農地、水辺地等における多様な自然環境を適正に保全すること。

(4) 人と自然が豊かに触れ合うとともに、共生することができる環境を確保すること。

(5) 歴史的文化的な環境と調和のとれた景観の形成を図り、快適な環境を創造すること。

(6) 廃棄物の発生の抑制、資源の循環的な利用及びエネルギーの有効利用を促進すること。

(7) 地球環境保全を積極的に推進すること。

(環境基本計画)

第8条 町長は、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための基本となる計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 環境の保全及び創造に関する総合的かつ長期的な目標及び施策の大綱

(2) 前号に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 町長は、環境基本計画を定めるに当たっては、町民及び事業者(以下「町民等」という。)の意見を反映させるとともに、第23条に規定する上松町環境審議会の意見を聴かなければならない。

4 町長は、環境基本計画を定めたときは、速やかにこれを公表しなければならない。

5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

第2節 環境の保全及び創造に関する基本施策

(環境への配慮)

第9条 町は、町が行う事業について、環境に影響を及ぼすと認められる場合は、環境への負荷が低減されるよう配慮しなければならない。

(環境の保全上の措置)

第10条 町は、公害の原因となる行為及び自然環境の適正な保全に支障を及ぼすおそれがある行為に関し、必要な措置を講ずるものとする。

2 前項に定めるもののほか、町は、人の健康又は生活環境に支障を及ぼすおそれのある行為に関し、必要な措置を講ずるものとする。

(経済的措置)

第11条 町は、町民等が環境への負荷の低減のための施設の整備その他適切な措置をとることを促進するため、必要かつ適切な経済的助成の措置を講ずるように努めるものとする。

(事業実施時における環境への配慮)

第12条 町は、環境に影響を及ぼすおそれのある事業を行おうとする事業者がその事業の実施に当たりあらかじめ環境の負荷の低減について配慮するよう促すため、必要な措置を講ずるものとする。

(公共的施設の整備等)

第13条 町は、環境の保全及び創造に資する公共的施設の整備を進めるとともに、これらの施設の適切な利用を促進するため必要な措置を講ずるものとする。

(自然環境の保全)

第14条 町は、自然環境の保全のため、山林及び農地の保全活動、多様な野生生物の生育及びその生息地の保護等について必要な措置を講ずるものとする。

(資源の循環的な利用等の促進)

第15条 町は、環境への負荷の低減を図るため、町民等による資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用及び廃棄物の減量が促進されるよう、必要な措置を講ずるものとする。

2 町は、環境への負荷の低減を図るため、町の施設の建設及び維持管理その他の事業の実施に当たっては、資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用及び廃棄物の減量に努めるものとする。

(環境教育等の推進)

第16条 町は、町民等が環境の保全及び創造に関する理解を深めるとともに、これに関する活動の意欲の高揚を図るため、環境の保全及び創造に関する教育及び学習の推進、広報活動の充実その他必要な措置を講ずるものとする。

(自発的な活動の促進)

第17条 町は、町民等が自発的に行う環境の保全及び創造に関する活動が促進されるよう必要な措置を講ずるものとする。

(情報の提供)

第18条 町は、環境の保全及び創造に関する教育及び学習の推進並びに町民等が自発的に行う環境の保全及び創造に関する活動の促進に資するため、環境の状況その他の環境の保全に関する必要な情報を適切に提供するよう努めるものとする。

(状況の把握等)

第19条 町は、環境の状況を把握し、環境の保全及び創造に関する施策を適正に実施するために必要な情報の収集、調査及び研究の実施に努めるものとする。

2 町は、環境の状況を把握し、環境の保全及び創造に関する施策を適正に実施するために必要な監視、測定、検査等の体制の整備に努めるものとする。

第3節 地球環境保全の推進

(地球環境保全の推進)

第20条 町は、地球環境保全に資する施策を積極的に推進するものとする。

2 町は、国、他の地方公共団体及びその他の関係団体等(以下「国等」という。)と連携し、地球環境保全に関する調査、情報の提供等に努めるものとする。

第4節 施策の推進体制等

(推進体制の整備)

第21条 町は、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための体制を整備するものとする。

2 町は、町民等と協力して環境の保全及び創造に関する施策を効果的に推進するために必要な体制の整備に努めるものとする。

(国等との協力)

第22条 町は、広域的な取組を必要とする環境の保全及び創造に関する施策の実施に当たっては、国等と協力して、その推進に努めるものとする。

第3章 上松町環境審議会

第23条 環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき、上松町環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、次に掲げる事項を審議する。

(1) 環境基本計画の策定及び変更に関すること。

(2) 前号に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に関する基本的事項に関すること。

3 審議会は、前項に定める事項に関し、町長に意見を述べることができる。

4 審議会は、次に掲げる者のうちから町長が委嘱する10人以内の委員をもって組織する。

(1) 公募等により選出された町民

(2) 学識経験者

(3) 関係行政機関の職員

(4) その他町長が必要と認める者

5 委員の任期は2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

6 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

第4章 雑則

(その他)

第24条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める。

この条例は、公布の日から施行する。

上松町環境基本条例

平成30年6月21日 条例第14号

(平成30年6月21日施行)

体系情報
第8編 生/第3章 環境保全
沿革情報
平成30年6月21日 条例第14号