○上松町小規模・中小企業振興基本条例

令和3年3月5日

条例第2号

(前文)

上松町は、長野県の南西部、木曽郡のほぼ中央に位置し、中央アルプスの雄大な山々と木曽ヒノキに代表される森林資源や中京圏の水源である木曽川、四季折々の変化に富んだ赤沢渓谷など自然環境を保ちつつ、企業誘致に取り組むなど発展してきた。

しかしながら、近年、人口減少、少子高齢化による労働力不足、経済のグローバル化や情報通信技術等の飛躍的な進歩など、小規模企業及び中小企業を取り巻く環境は大きく変化している。このような中、当町の事業所の多数を占める小規模企業及び中小企業は人材と地域資源の活用により雇用を創出するとともに、地域経済活動を牽引し、社会に貢献する存在として当町の発展に寄与してきた経緯がある。また創意と工夫により経営の安定化を図り、あるいは新たな事業展開に取り組むなど、環境の変化に対応している。

将来にわたって当町の持続的な発展を確固たるものにするため小規模企業者及び中小企業者自らがその経営向上に努め、地域社会における責任を果たし、町民や社会から一層の信頼を得ることが求められている。一方、町、関係団体、金融機関、学校及び町民は小規模企業及び中小企業が果たす役割と重要性を再認識し、地域社会全体で支援することの意義について理解を深め、連携し協力していくことが不可欠であり、小規模企業及び中小企業が発展する環境を整え、更なる地域経済の活性化を図る必要がある。そのことにより、雇用の場の確保や町税の増収等が図られ、住民福祉、教育など住民サービスが向上し、住みよい町への循環型地域社会が形成されることが期待されている。

これらのことを深く認識し、町づくりに関わる者が一体となり、小規模企業及び中小企業の振興を図るため、ここに条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、上松町の発展における小規模企業及び中小企業(以下「小規模・中小企業」という。)の重要性に鑑み、小規模・中小企業の振興について基本理念を定め、小規模企業者、中小企業者、町、商工会、金融機関、各種団体、教育機関及び町民が、それぞれの役割について相互理解を深めることにより、地域経済の持続的発展及び町民生活の向上を図ることを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 中小企業者 中小企業基本法(昭和38年法律第154号。以下「法」という。)第2条第1項各号のいずれかに該当するものをいい、町内に事業所又は店舗を有するものをいう。

(2) 小規模企業者 中小企業者のうち、法第2条第5項に規定する小規模企業者をいう。

(3) 商工会 商工会法(昭和35年法律第89号)の規定に基づく商工会で、町内に事務所を有するものをいう。

(4) 金融機関 銀行、信用金庫その他金融業を営むものをいう。

(5) 各種団体 中小企業団体の組織に関する法律(昭和32年法律第185号)第3条に規定する中小企業団体及びその他の中小企業に関する団体をいう。

(6) 教育機関 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する大学、高等専門学校及び同法第124条に規定する専修学校並びに長野県内に所在する国又は長野県が所管する公的研究機関をいう。また、職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)に基づく、県の職業能力開発施設(技術専門校)を含む。

(7) 町民 町内に住所を有する者又は町内に通勤又は通学する者並びにまちづくりに関わる団体及びこれらに準ずる団体等で町長が特に認めるものをいう。

(基本理念)

第3条 小規模・中小企業の振興は、次に掲げる事項を基本理念(以下「基本理念」という。)として、これに基づき推進されなくてはならない。

(1) 小規模企業者及び中小企業者自らの創意工夫及び自主的な努力を基本とすること。

(2) 小規模企業者及び中小企業者が地域経済及び雇用を支える担い手として重要な役割を果たしているという意識の下に町、国、県、商工会、金融機関、各種団体、教育機関及び町民と連携をとり持続的発展が図られることを旨として推進することを基本とすること。

(小規模企業者及び中小企業者の努力)

第4条 小規模企業者及び中小企業者は基本理念に基づき、経済的社会的環境の変化に対応して、自主的に経営向上及び改善に努めるものとする。

2 小規模企業者及び中小企業者は事業活動を行うに当たっては、経営基盤の強化、人材育成及び雇用環境の充実を図り、従業員が生きがい及び働きがいを得ることができる職場づくりに努めるものとする。

3 小規模企業者及び中小企業者は、町が実施する小規模・中小企業の振興に関する施策(以下「施策」という。)に協力するよう努めるものとする。

4 小規模企業者及び中小企業者は相互に連携を図り、また、行政、商工会、教育機関及び金融機関との連携に努め、経営能力の向上等を図るため、商工会へ加入するよう努めるものとする。

5 小規模企業者及び中小企業者は、地域社会を構成する一員として社会的責任を自覚し、暮らしやすい地域社会の実現に貢献するよう努めるとともに、自然環境との調和に十分配慮するよう努めるものとする。

(町の責務)

第5条 町は、基本理念に基づき、社会経済情勢の変化に対応した施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

2 町は、小規模・中小企業の振興に関する施策の立案及び実施に当たっては、小規模企業者、中小企業者及び商工会の意見を聴き、これを反映するよう努めるものとする。

(商工会の役割)

第6条 商工会は、基本理念に基づき、小規模・中小企業の経営安定を図り、人材育成、改善及び革新のための取組を積極的に努めるものとする。

2 商工会は、小規模企業者及び中小企業者の実態を把握し、自らの事業活動に反映するとともに、商工会会員相互の関係強化の促進を図るよう努めるものとする。

3 商工会は、町が実施する施策に協力するよう努めるものとする。

(金融機関の役割)

第7条 金融機関は、基本理念に基づき、小規模企業者及び中小企業者の資金需要に対する適切な対応、事業活動に有効な情報の提供その他の方法により、経営向上及び改善に努めるものとする。

2 金融機関は、町が実施する施策に協力するよう努めるものとする。

(各種団体の役割)

第8条 各種団体は、基本理念に基づき、小規模・中小企業の経営の向上及び改善に積極的に取り組むとともに、町が実施する施策に協力するよう努めるものとする。

(教育機関の役割)

第9条 教育機関は、基本理念に基づき、人材育成並びに研究開発及びその成果の普及における取組を通じて、小規模・中小企業の成長発展に協力するよう努めるものとする。

2 教育機関は、町が実施する施策に協力するよう努めるものとする。

(町民の協力)

第10条 町民は、基本理念に基づき、小規模・中小企業により生産、製造又は加工される製品及び提供される役務を利用することをもって、小規模・中小企業の健全な発展及び育成に協力するよう努めるものとする。

(基本的施策)

第11条 町は、第1条に規定する目的を達成するため、基本理念に基づき、次に掲げる基本的施策の決定及び推進に努める。

(1) 経営基盤の強化及び経営の革新の促進を図ること。

(2) 地域の資源を活用した新たな技術及び事業の開発の支援を図ること。

(3) 創業の支援及び事業の継続の円滑を図ること。

(4) 知識及び技術の向上等のため人材育成及び雇用の安定を図ること。

(5) 資金調達の円滑化を図ること。

(6) 販路拡大のための積極的な広報活動及び異業種交流を図ること。

(7) 地域社会の発展及び町民生活の向上に寄与する小規模・中小企業の活動の活性化を図ること。

(8) 国、県の進める経営発達、支援等に対する計画に沿って小規模・中小企業の育成を図ること。

(9) 災害等により多大な被害が発生、又はその影響により被害が予想される場合は速やかに対策を図ること。

(10) 学校教育における児童、生徒及び学生の勤労観及び職業観の育成を図ること。

(11) 町が発注する工事、物品購入、請負等に当たっては、予算の適正な執行及び契約の透明かつ公正な競争に留意し、小規模企業者及び中小企業者の受注機会の増大を図ること。

(12) その他小規模・中小企業の振興を図ること。

(財政上の措置)

第12条 町は、施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。また、小規模・中小企業の育成については商工会に財政上の措置を講ずる。

(委任)

第13条 この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める。

この条例は、公布の日から施行する。

上松町小規模・中小企業振興基本条例

令和3年3月5日 条例第2号

(令和3年3月5日施行)